入稿データとは
入稿データは「完全データ」とも言ったりしますが、印刷工場にデータを送ってそのまま問題なく印刷に対応しているデータのことです。
入稿データがしっかり作られていないと、印刷したときにデザインがくずれてしまったり、粗い仕上がりになってしまったり、色味がかわってしまったりすることがあるので要注意です。
入稿データに対応しているアプリケーション
最適なのは、Adobe社のIllustrator(イラストレーター)やPhotoshop(フォトショップ)。
Illustrator(イラストレーター)やPhotoshop(フォトショップ)はもともと紙印刷用のデータを作成するためのソフトなので、入稿データを作成するための機能がそろっています。
ただ、かなり専門的なソフトで、使用するのも月額の料金がかかりますし、あまり一般的なソフトではありません。
そのため、当店のお客様でもIllustratorやPhotoshopで作成したデータをご用意できないお客様もたくさんおられますので、まずはご安心ください。
数年前からOfficeのWordやExcel、PowerPointなどで作ったデータでも対応する印刷会社が増えてきましたが、当店としてはあまりお勧めしていません。
なぜなら、WordやExcel、PowerPointで作ったデータはPDF保存すればレイアウトはほぼくずれずに印刷できますが、一番の問題は「色」です。
WordやExcel、PowerPointはもともと紙印刷用のソフトではないので、選択できる色がインクに対応していないことが多々あります。
そのためデータ上でイメージしていた色味と実際に仕上がった印刷物の色味にかなり誤差がでることがあります。
それは「WordやExcel、PowerPointのデータでも印刷OK」としている印刷会社も認めている事実です。
そこで当店はWordやExcel、PowerPointで作ったデータしか用意できないお客様の場合、できる限り当店でIllustrator(イラストレーター)データに作り直す対応をしています。
「完全データ変換サービス」で無償で対応できる場合もあれば、作業のボリュームによっては有償になる場合もあります。
※お客様からご支給いただく素材データの状況によっては対応できない場合もございます。
最近は、スマホやタブレットのアプリで画像編集ができるものも増えてきました。
当店のお客様でもそういったアプリでデータを作られる方も増えてきましたが、正直なところそういったアプリはあくまでもWEB上で見るための画像をつくることを想定していますので、紙印刷には対応していないのがほとんどです。
ただ、いくつかの注意点を考慮していただきながらデータを作れば印刷に対応できる場合もございますので、そういったアプリでデータ作成をされる場合は、できればデータ作成前にまずは当店にお気軽にご相談ください。
デザインをさんざん作りこんだ後に「印刷に対応していないから作り直してください」というのは当店としても心苦しいので、先に注意点を詳しくお伝えさせていただきたいと思っております。
書体(フォント)について
デザインをするときには、文字はパソコンやタブレットに入っている「フォント」を使って入力します。
ここで注意していただきたのは、
「すべてのパソコンやタブレットに同じフォントが入っているとは限らない」
ということです。
そのため、お客様が使ったのと同じフォントが当店にないと、お客様からお送りいただいたデータを当店で開いたときに、文字が化けてしまう(まったく違うフォントに勝手に置き換えられてしまう)ことがあります。
それを避けるために、Illustrator(イラストレーター)で作ったデータでは、「文字をアウトライン化する」という機能があります。
簡単に言うと、文字の輪郭線を取って図形のようにしてしまうという機能です。
これをすれば、どの端末で開いても文字化けすることはなくなります。
ただ、「文字をアウトライン」してしまうと、文字を修正したいときにできなくなってしまうので、文字のアウトラインはデザインが終わった一番最後に行って、必ず「別名保存」してください。※文字をアウトラインする前のデータも必ずとっておいてください。
そうしないと、後々文字を修正したいと思ったときに困ってしまいますからね。
あともう1つフォントで注意いただきたいのは、「フォントの著作権」です。
フォントにはフリーのものもございますが、商用利用が許可されていないフォントもあります。
そのため、社名や店舗名、商品名などのロゴとしてフォントを使う場合は要注意です。
必ず「商用利用が許可されているフォントかどうか」を確認してください。
※当店ではお客様がどのフォントを使用しているかわかりませんのでフォントの著作権の確認はしておりません。あくまでもお客様の責任において確認をお願いいたします。
※商用利用が許可されていないフォントを無許可でロゴ等に使用すると、著作権者から訴えられてしまう可能性がありますのでご注意ください。
できれば、ロゴにはフォントを使わずに、オリジナルデザインで作成されることをお勧めいたします。
色設定(カラーモード)について
データのカラーモードには「CMYK」と「RGB」があります。
紙印刷用のデータは、必ず「CMYK」で作ってください。
CMYK(シーエムワイケー)
プロセスカラーとも言って、印刷会社が紙印刷に使用するインクに対応した色設定。
紙印刷では、C(シアン・水色)、M(マゼンタ・濃いピンク)、Y(イエロー・黄色)、K(キープレート・黒)の4色のインクを掛け合わせてすべての色を表現します。
RGB(アールジービー)
光の三原色。「Red」「Green」「Blue」 の3光源で構成されます。モニタやTV、ディスプレイなどで発光させて表示する方式です。
光なので、蛍光色など鮮やかな発色ができるのが特徴です。
WEB上で使用する画像等でしたらRGBで問題ありませんが、紙印刷ではインクでの表現になるので、RGBはCMYKに変換をする必要がございます。その際、色によってはかなり色味が沈んでしまいます。
そのため、紙印刷用のデザインをする際には、最初からCMYKでデータ作成をはじめてください。
※スマホやタブレットの画像編集アプリでは、CMYKが選択できないものも多々ございます。その場合は最終的には当店にてCMYKに変換をしますので、色味の誤差についてはご了承いただく必要がございます。
※最近はRGB印刷もできる印刷会社が増えていますが、対応できる仕様が限られていることがほとんどです。ヘッダーや台紙・タグ等の印刷には対応していないことが多いので、予めご了承ください。
画像について
紙印刷でデザインに画像を使用する場合は、いくつか大切な注意点がございます。
解像度
解像度はデザインに使用する大きさの原寸で320~350dpi必要です。
解像度とは、画像の密度の数値です。
画像データは、点(ピクセルやドット)の集まりで表現されているのですが、点の数が少ないと画像が粗く、多いと鮮明になります。
紙印刷用の画像の解像度としては、320~350dpiがちょうどいい感じで、これよりも低いと印刷があまりきれいに表現できません。
逆に高すぎてもデータが重くなるばかりで、印刷の仕上がり程度としては肉眼ではあまり差がわからないので、無駄に高くする必要はありません(高くてもとくに支障はありませんが)。
Photoshopで画像を開くと解像度を確認することができますし、解像度を変更することもできますが、もともとの解像度が低いデータを数値上だけ解像度を上げても、画像のクオリティは上がりません。ここはなかなかわかりやすくご説明するのが難しいところなので、詳しくお知りになりたい方はお気軽に当店までお問合せください。
ちなみに、スマホやタブレット用のアプリですと、簡易的なアプリでは解像度の設定ができないものもあるようです。
そういったアプリで画像を作成される場合は、画像のサイズ(縦横のサイズ)をなるべく大きく作ってください。
解像度の設定ができるアプリでしたら、最初に新規でデータを作成し始める段階で、解像度をなるべく高くして作成してください。
ヌリタシ

上図で、オレンジの部分が仕上がりサイズ、その外側にある上下左右3mmずつの部分が「ヌリタシ」です。
ヌリタシは、仕上がり線ギリギリまで色やデザインを配置する場合に必要となります。
■デザイン例・・・

上図のように仕上がり線いっぱいまで背景やライン、画像がレイアウトされる場合、仕上がり線よりも上下左右各3mmずつ余分にはみ出させる必要があります。
最終的には仕上がり線で断裁されるので、ヌリタシは切り取られてしまう部分になります。
ではなぜ必要なのでしょうか?
それは、断裁が多少ずれるから、です。
断裁はもちろんなるべくずれないように気を付けてはいるのですが、どうしても若干のズレが生じてしまう場合がございます。
そうすると、例えば上のデザインで水色の背景がある部分にヌリタシがなかった場合、断裁がずれると紙の白が端に出てしまうことになります。
それでは仕上がりが美しくないので、多少断裁がずれてもきれいに仕上がるように、余分に色をのせておくんです。
これはどの印刷会社でも暗黙のルールのような感じで求められるので、上記のようなデザインでヌリタシがないと工場側で受け付けてもらえない可能性があります。
画像に限らず色でもラインでもヌリタシは関係するのに、なぜ画像の注意事項としてヌリタシを上げているかといいますと、当店ではどうにもできないから、です。
例えば上記のデザインで水色の背景の作り方としてIllustrator上で色を載せている場合、ヌリタシがない状態で当店にデータを送っていただいても、当店でヌリタシを付けくわえることが簡単にできます。
しかし、上記の色紙の画像が例えば仕上がり線ぴったりまでしかなかった場合、その続きをヌリタシとして付けくわえることは至難の業ですよね。
そのため、最初からヌリタシ分を考慮した画像をご用意いただいて、デザインをしていただきますよう、お願いいたします。
加工位置の指示
ヘッダーなどで、スジ入れや穴開けの位置をご指示いただく際に、画像上に穴やスジを書き入れてしまいますと、そのまま印刷されてしまいます。
レイヤーを分けていただけるようでしたらよろしいのですが、一体化した画像になってしまう場合は、加工位置のご指示は画像上には書き込まず、別の方法でご指示いただきますようお願い申し上げます。
入稿データ作成についてご不明な点がございましたら、お気軽にお問合せください。