大事なのに知られていない印刷用の「入稿データ」作成上のポイント ~画像の解像度~

解像度って何?

「解像度(かいぞうど)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

あまりなじみのない言葉かもしれませんが、紙印刷のデータにとってはとても大事なポイントなので、ぜひ覚えていただきたいと思います。

「解像度」というのは簡単に言うと、画像のきれいさを示す値です。

写真などの画像データは、拡大してよく見ると「小さなドット(点)」の集まりで構成されています。
解像度は「dpi(ディーピーアイ)」という単位で表示しますが、これは「ドット・パー・インチの略」でして、1インチの中にいくつドットがあるか、という数値となります。

1インチの中にあるドットの数が多ければ、その分細かいところまで表現できるのできれいに印刷できる画像ということになり、ドットの数が少ないと粗い表現になってしまうので、あまりきれいに印刷できない画像ということになります。

解像度はいくつが最適?

紙印刷で推奨される解像度は一般的に原寸「320~350dpi」とされています。

これより解像度が低いと、実際に印刷した際に画像が粗い表現になってしまう可能性があります。

例えば以下のようなイメージです。

解像度の違いのイメージ

あくまでもイメージなので、実際に印刷したときの仕上がり具合とは誤差がある可能性はございますが、解像度が低いと右側の「解像度72dpiイメージ」のように、ギザギザしたような表現になってしまう可能性がございます。

じゃあ、解像度は高ければ高いほどいいのか、というとそういうわけでもありません。
例えば解像度が500dpiとか1000dpiでも印刷はできますが、実際に印刷した仕上がりを見ても350dpiの場合よりきれいに印刷できるかといえば、肉眼ではよくわからない程度の違いです。

解像度が高くなると、データの重さとしては重くなるので、デザイン等をする際の作業効率は悪くなります。
そのため、解像度は無駄に高くする必要はなく、「320~350dpi」で十分です。

解像度の設定の注意事項

”原寸で”がポイントです

解像度の推奨数値は、実際にデザインで使用する画像のサイズの”原寸”での数値となります。
例えば、作成する印刷物の中で、画像を10cm角でレイアウトしたい場合は、10cm角の画像での解像度が重要となります。

使用したい画像データが、もともと解像度は350dpiありますが大きさが5cm角しかなかったとします。
それをデザインの際に10cm角に拡大をしてしまうと、解像度は半分の175dpiになってしまいます。
そのため、画像は拡大して使用してはいけないし、デザインで使用する大きさでの解像度が「320~350dpi」である必要があります

低い解像度を数値上だけあげても、画像はきれいになりません

画像の編集で私たちが使用するアプリケーションはAdobeのPhotoshop(フォトショップ)です。
Photoshopでは、画面の左上にある「イメージ」→「画像解像度」から画像の解像度の確認ができます。

Photoshopで解像度を確認する

例えば以下の画像ですと、解像度は72dpiになっているということです。(赤い矢印で示した部分)

紙印刷でこの画像を使用したい場合は72dpiでは解像度が低すぎるので、解像度を上げたいな~と思ったとします。
そうすると、上図の赤丸の部分で数値を350に書き換えることができてしまいます。

でもこれは絶対にやってはいけません!!

低い解像度の数値をここで高く書き換えても、もともと粗い画像がきれいになることはないのです。
画像の解像度は、もとから高い画像を用意する必要がありますので、ご注意ください。

【例外】
上図の解像度の数値を上げることができる場合があります。
それは、もとの画像のサイズ(縦横の寸法)がかなり大きい場合です。
画像の寸法を小さくしながら解像度を上げれば、大丈夫な場合があります。
ただ、これはいろいろと気を付けなければいけない点がありますので、どうしても解像度が低い画像しかご用意できない場合は、なるべくサイズが大きい画像をご用意の上、当店にご注文いただく際にご相談くださいませ。

イラストや全体のデザインを画像で作りこむお客様は、新規でデータを作成するときに解像度をチェックしてください

最近はスマホやタブレット用のアプリでも、画像編集ができるものが増えてきました。
これらのアプリは基本的にはWeb上で使用する画像を編集することを想定しているアプリなので、あまり紙印刷には向いていないのですが、それでも解像度に注意いただければ紙印刷にも使用できるデータを作成することはできます。

その場合は、データを新規で作り始める一番最初に必ず解像度を確認するようにしてください。
お使いになるアプリによって設定は異なるかと思いますが、一番最初に新規でデータを作る際に解像度の設定ができるアプリでしたら、なるべく高い数値にしておいてください。

先ほど紙印刷の解像度は320~350dpiあれば十分と記載いたしましたが、スマホやタブレット用のアプリの場合は、最終的にデータを保存(書き出し)をする際に自動的に解像度が少し低くなってしまうものもあるようです。
(あくまでもこれまでのお客様とのやり取りの中で感じたことなので、正確な情報ではないかもしれません。)

解像度を高く設定しますとデータが重くなるので、作業効率は低くなってしまう可能性はございますが、さんざんイラストやデザインを作りこんだ後で解像度が低いために使えない、となってしまうのを避けたいのです。

お使いになるアプリによっては解像度の設定ができないものもあるかと思いますが、その場合は実際にレイアウトする原寸よりも等倍でかなり大き目(5倍とか6倍)に作っておいてください。
そうすれば、もし解像度が低い画像になってしまっても、サイズを小さくしながら解像度を上げることができるかもしれません。

解像度は、たとえ低くてもパソコンのモニタやスマホの画面上ではきれいに見えてしまうというのが厄介なところです。
Webで使用する画像は、一般的に解像度は72dpiになっており、モニタや画面で見る分にはそれで十分なのです。
そのため、Webから入手できる「フリー素材」を使う場合も注意が必要です。

紙印刷用のデータに画像を使用する場合は、解像度のチェックをお忘れなく!!