大事なのに知られていない印刷用の「入稿データ」作成上のポイント ~カラーモード~
今はデザインをするためのソフトやアプリがいろいろとあって、プロのグラフィックデザイナーじゃなくてもきれいなレイアウトを作ることが簡単にできるようになってきました。
もともとグラフィックデザイナーだった私たちとしては少々複雑な気持ちですが(苦笑)、便利になったのはいいことです。
ただ、「紙印刷」に適したデータ、いわゆる「入稿データ」(完全データとも言います)は、制作する上でいくつか注意しなければいけない要素があります。
それをきちんと満たしていないと、モニタ上やプリンターで出力した状態ではきれいに見えていても、実際に印刷したときにがっかりな仕上がりになってしまうことがあります。
1つずつなるべくわかりやすく説明いたしますので、せっかく頑張ってデザインしたのに「こんなはずじゃなかった~~~!!」ってならないように、ぜひチェックしてみてください。
今回お伝えしたいのは、データの「カラーモード」についてです。
カラーモードって何?
データの色設定(カラーモード)には大きくわけて「CMYK」と「RGB」の2種類があります。
いきなり聞きなれない専門的な用語で恐縮ですが、そんなに難しいお話ではありません。
一言でいうと
CMYK:インクで表現するもの
RGB:デジタルで表現するもの
に使うんだ、とご理解いただければいいと思います。
CMYKとは・・・
CMYKは、紙印刷をするときの4色のインクの色です。
紙印刷は基本的に以下の4色のインクの組み合わせでフルカラーを表現します。
- C:シアン(水色)
- M:マゼンタ(濃いピンク)
- Y:イエロー(黄色)
- K:キープレート(黒)
そのため、当店にご注文いただくヘッダーや台紙・タグなどのデータは、カラーモードは必ず「CMYK」にしていただきたいのです。
RGBとは・・・
では、「RGB」とはなんなのか。
これは「光の三原色」とも言って、
- R:レッド
- G:グリーン
- B:ブルー
の3色となります。
モニタや液晶画面、スマホの画面などもおそらくそうだと思いますが、基本的に上記の3色のドットの組み合わせでフルカラーを表現します。
※今はもっと高度な技術が使われているかもしれませんが。。。
この3色で「白」はどうやって表現するの?
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、R・G・Bの3色をそれぞれフルでかけあわせると「白」になります。
光なので、色を集めれば集めるほど明るくなって「白」になるんですね。
カラーモードの設定
カラーモードの設定は一番最初に新規でデータを作成し始めるときに設定するのが一般的です。
紙印刷用のデータを作成するのにもっとも推奨されるアプリケーションはAdobeのIllustrator(イラストレータ)かPhotoshop(フォトショップ)ですが、例えばIllustratorでしたら、一番左上の「ファイル」から「新規」を選択すると以下のような画面が表示されます。

上記の部分でカラーモードの設定ができます。
Photoshopの場合も同様に、左上の「ファイル」から「新規」を選択すると、同じような以下の画面が表示されます。

Photoshopの方は、カラーモードのプルダウンをクリックするとCMYKとRGBのほかにもいろいろと選択肢が出ますが、紙印刷の場合はCMYKを選んでおけば基本的には問題ありません。
(黒1色印刷のデータをPhotoshopで作成する場合は、カラーモードで「グレースケール」を選択した方がいい場合もございます)
その他のアプリケーションでも、カラーモードの設定ができる場合は一番最初の新規作成の時に設定してください。
使っているアプリにカラーモードの設定がない場合はどうすればいいの?
最近のスマホやタブレット用のデザインアプリで、とくに無料のものですと、カラーモードの設定がない場合もあるかと思います。
それは、スマホやタブレットで作成するデザインは基本的にはネット上でスマホやタブレットで見るためのものをデザインすることを想定していますので、紙印刷に使用することは想定されていないためだと思われます。
そのため、原則「RGB」のデータになると思います。
では、そういったアプリで作ったデータは紙印刷には使えないのか、といえばそうとは限りません。
RGBになっているデータも、AdobeのIllustrator(イラストレータ)かPhotoshop(フォトショップ)で開くことができれば、あとからカラーモードをCMYKに変換することはできます。
ただ、その場合1つどうしてもご了承をいただかなければいけない点があります。
それは
色味が多少沈む
ということです。
先述したように、RGBは「光の三原色」なので、かなり鮮やかな色を表現できます。
蛍光色のような色だったり、ゴールドやシルバーのように見える色だったり。
ただ、紙印刷はあくまでも「インク」で表現します。光ではありません。
そのため、RGBのデータをCMYKに変換したとたんに、とくに鮮やかな色ほど沈んだような色になってしまうことが多々あります。
もちろん、インクにも「蛍光色」や「金」「銀」のインクはあります。
でもこれは特別な「特色」という扱いとなりまして、一般的な価格では対応できません。
また、「特色」の色指定は、それはそれで特別な方法になり、データの作り方も変わってきます。
なるべく低コストで、一般的なデータの作成方法で印刷物を作る場合は、やはり「CMYK」色設定となりますので、「蛍光色」や「金」「銀」などのような色は表現できないと思っていただいた方がいいでしょう。
最初にRGBで鮮やかな色でデザインをしたイメージがあると、CMYKに変換したイメージや実際に仕上がった印刷物を見てがっかりされてしまうこともあるかもしれません。
そういったことを防ぐためにも、最初からCMYKで色味もご検討いただくことを、お願い申し上げます。